久米島海底鍾乳洞ポイント調査報告書
作成日 1999年6月6日
調査日程 1999年6月2日~6月5日
潜水日 1999年6月3日・4日
所在地 沖縄県島尻郡具志川村字兼城 南側沖約1km
洞穴名 秀ん家ガマ(ひでんちがま)
発見日 1999年2月10日
発見者 ダイビングベース久米海秀 代表 友寄 秀光
測量者 川嶋清剛 関藤博史
洞窟内撮影 川嶋清剛
ガイド及び撮影協力等 友寄秀光 工藤
種類 海底鍾乳洞 横穴
洞口水深35m
長さ 洞口より170m。さらに奥あり
洞内最深部 水深39m
洞内最浅部 水深32m
確認生物
ウニ(ブンプクの仲間?)エビの仲間 カニの仲間 ウツボらしい魚類 ゴカイの仲間?
カバーンの範囲 :アカマツカサ ホウセキキントキ イセエビ
生成物 鍾乳石、石筍(せきじゅん)、石柱、カーテン(鍾乳石が帯状に連なったもの)など
採取物 大型動物の骨 (60m地点 及び 140m地点)
コンピュータデータ(使用コンピュータ:アイレ BUG)
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1本目
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2本目
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3本目
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4本目
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年月日
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99・6・3
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99・6・3
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99・6・4
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99・6・4
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潜水開始時間
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11:28
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14:48
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11:19
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16:52
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潜水終了時間
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12:10
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15:58
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12:09
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17:33
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潜水時間
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42分
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70分
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50分
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41分
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最大水深
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37.9m
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37.0m
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39.0m
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37.2m
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平均水深
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21.6m
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16.2m
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19.5m
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21.2m
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最大水深時水温
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24.3℃
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23.8℃
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23.5℃
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23.2℃
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潜水種類
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減圧潜水
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減圧潜水
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減圧潜水
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減圧潜水
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使用ガス
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空気
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空気
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空気
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空気
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潜水者
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川嶋
関藤
友寄
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川嶋
関藤
友寄
工藤
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川嶋
関藤
友寄
工藤
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川嶋
関藤
友寄
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* 平均水深は、総潜水時間のもの。減圧時間も含む。
久米島海底鍾乳洞『秀ん家ガマ』
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4月に久米島で日本最大の海底鍾乳洞が見つかったというニュースが放映された直後、何人かの知人から連絡が入った。
"ケーブですごいのが見つかったぞ"
ダビングをしていた方(安原氏)のところに行き、何回巻戻してみたものか…
仕事の段取りをつけ、ようやく6月3日久米島にきた。
しかし、重い荷物である。
通常のダイビング器材の2人分はゆうにある。
特殊なBC、マニーホールド、レギが2個、リール、Wタンク用ステンバンド、ライト3つ…
すべてが自分の命を守ってくれる重要な機材達だ。
しかも今回一緒に潜ってくれる川嶋さんの機材の足らない分まで持ってきたので重い訳だ。
"あー重たかった、今度からは自分で機材を用意してよ!" などとは、私のダイビングの大師匠である川嶋さんに言える訳もなく、明日から潜る準備の為、ケーブダイビング用の器材の組み立てを開始した。
組み立てを終え、このケーブの発見者である友寄さんに話しを伺いながら潜水計画を立てた。
"とにかく距離を伸ばそう"
3人の合致した意見であった。
ということは、今回だれも見たことの無い人類未踏の部分に突入するわけだ。
うれしさの反面、水深が35mと深い事、その先がどうなっているのか分からないことなどの不安を川嶋さんにぶつけた。
"ケーブのルールを守れば大丈夫!"
やはり、私の大師匠。頼りになります!荷物ぐらいなんぼでも持たせていただきます!
ケーブという、しかも水中という特殊な環境ではバディ同士の信頼感というのは普通のダイビングの非ではないぐらい重要なので、ばかな話しもしながらコミニケーションもしっかりとり、早めに床に就いた。
いよいよアタックである。
エントリーしたとたん久米島のどこまでも透き通る水が体を包んだ。
案内してもらい入口(洞口)にさしかかる。
水深35mに人がギリギリ入れる高さの穴がぽっかりと開いている。
タンクをごりごりすりながら進んでいくと中は広い。
入口付近に多いサンゴのがれきが過ぎると下は石灰質の細かい沈殿物だ。
シルトをあげないように特殊なフィンキックで中に進むと鍾乳石や石筍があり、さらに進むとでかいホール。
そこの天井には見事なシャンデリア状の鍾乳石が・・・。(70~100m地点)
突き当たりかと思いきや左側にはまだスーっと伸びる道が。
まさに未知の空間か・・・。
また天井がやたら低く背中のタンクや1stをごりごりしながら進む。
100m付近でレギが外れてしまうとやばい…
いや、ケーブでマイナス思考は禁物だ。
もし外れても大丈夫、もう一個のレギがある。 バディもいる。………大丈夫だ。
20mほど進むとカーテン状の鍾乳石が二重三重につらなる。ウオーッ!!
めちゃめちゃキレイな景色が広がる(120m地点)
さらに奥を目指すと石柱がいたるところにある。動物の骨らしきものも発見した。右に左にくねくねと続き、100m地点からのここまでの景色は さらにすばらしい!170mほどの地点に到達。さらに奥は続いている。
もう、エアーも限界に近いので"帰ろう"のサイン。
さっき引いたラインを確認しながらもどる。
入口の方には青い光りが見えてきた。キレイだ 帰ってきたんだ…・。
ダイビングコンピューターが30分の減圧を指示している。
計4回のアタックで170mに到達。
なんともいえんこの快感。
この達成感があるからケーブダイビングをやめれなくなってしまう。
たまらんほどの快感を得て私は大阪への帰路についた。
片手には、たまたま久米島ケーブの取材に来ていた新聞記者の方が書いた記事のある、私の名前が載っている新聞を5冊もっていた。
鼻の穴がケーブに負けないぐらいぽっかりと開いていたのをキレイなスチュアーデスさんにみられながら……
また来よう…・さらに奥を目指して
謝辞:発見者の友寄秀光さんに感謝します。
TDI-JAPAN
なみよいくじら 関藤博史
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